「ねえ、なんかギョーカイ人って○○ちゃんって呼ぶじゃん。あれって気持ち悪いよね」
すると彼は意外なことを言った。
「あれはねー、ギョーカイ人が上下関係をなくすために導入した呼び方なんだよ」
「え、そうなの?」
「○○ちゃん、って言うとさ、上下関係ないじゃん。男女も関係なくなるし。遠い関係の人でも、滅多に会わなくても、親しみを持って聞こえる。そういうところが、実は意外とけっこう、大事なのよ。清水ちゃん」
「よせやい、僕のこと清水ちゃんなんて呼んだことないじゃん」
「そりゃギョーカイの人じゃないからね」
「そりゃそうだな。つまり○○ちゃんってのは、承認でもあるわけか。”ボクは君をギョーカイ人として扱ってるよ”っていう」
「そうかもね。あと、もっと親しくなると逆にして呼んだりするよね。”ちゃんシミ”とか」
「さん付けすることはないの?」
「それはスポンサーとか、外部の人とかはさん付けするんじゃないかな」
「てことは○○さん→○○ちゃん→ちゃん○○という順にギョーカイに深くなって行くわけか」
「あと○○選手ってのもあるね。これも年齢とか性別とかを無くす呼び方。だけどやや下に見てる感じかな。清水選手、とか」
「選手ねえ。確かにADはそう呼ばれてるの見たことあるな」